幻に寄せて
 
ま 惑いは攫う
ぼ 亡命
ろ 肋骨が餓えはじめる
し 城と意志、あるいは君
に 憎しみの裏切り
よ 鎧う希求のかなしさに
せ 誓約の亡骸を抱く
て 鉄くさい幻

信じていたんじゃない。間違えていただけだ。
ま...胸を攫う。これは希望か絶望か。/ ぼ...君の届かない遠く。遠くへ。/ ろ...ひそやかな希求。/ し...孤高。/ に...憎いのに。憎しみさえ飼い馴らせない。/ よ...希求は硬く強張り濁ってゆく。いつのまにか。/ せ...決意も覚悟も既に空ろで。/ て...幻の血が伝う。そういう記憶。でも幻。だって殴れもしなかった。/
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