星 座 投 影 機

大ぐまのあしを きたに 五つのばした ところ。
小熊のひたいの うへは そらのめぐりの めあて。
(宮沢賢治「星めぐりの歌」より)

( かみのけ座 )
メリッサよりはいい子でいて
零と九の差し引き
金色の雨と黒い彗星
祈りが最期に織り上げるのは
よく言っても蜘蛛の糸
とすれば私はそれすら失う
君は追憶ですら背を向けた
それでも薔薇を
( 乳の道と銀の河 )
星屑と木枯し
乳臭い白は煤に穢れた
お綺麗なだけの契
そして残骸
あの夜は何度殺しても甦る
世界はこんなにも無数だと言うに
さも愉快そうな貌
皆な旨そうに呑み乾しています
( シグナスとスワンの間 )
冬眠ごっこ
いつかみずうみであおう
天上で結ばれる話
彼らは通り過ぎてゆく
それでも触ればあたたかい
十字架の背骨
すべてはみかけだけのこと
接吻なんかで近づけるものか
( 北極星をさがして )
貴方さえ見つかったなら
お空の小ぐまを君にあげよう
あの子たちみんな海に沈むのに
導は夜にあらわれる
木枯しはいつもお前から
天と地の黄玉
星星にさえ永遠は無い
どうせ行き場なんかないくせに
( ムーンシャイン )
青褪めたお人形
密造酒中毒
回転木馬への13ステップ
月か死
画の中の思い出
群青を宥める銀貨
ねんねこ唄にかかる霧
みんな月齢のせいにしよう
( 橙と緑の二重星 )
落日は独りで墜ちる
高き音の密やかな嗟嘆
左は握手しない方
街の燈の暖色
残香くらい置いてゆけ
去りゆく夏を熔かすくちばし
常磐緑よ此処に宿れ
さよならの融解点