待ち人は来ぬものなれば
何も博愛に堕すことはない
罪悪と呼べばよろしい
正気狂気が詰りあう
硝子が濁ってゆく過程
瞳の青をもっと酷い物に喩えたいのに
闇であって黒ではない
陸なら垣根も作れましょうが
採りそこねた真珠について
肺の中で薔薇が燻る
誰かがお前を抱いたとき
烏滸がましくもこの心臓は
殺意ほどの強さで
侵略者を心中に飼う
手繰っても手繰っても青ばかり
閉じかけた幕の間から
囚人のための寝台
掌は忘れてくれない
盲目と肌を頼りに